20◯◯年◯月◯日、僕は今まで見ていなかった厚労省のページを呆然と眺めていた。
柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いの中止(中止相当)措置一覧
なんでこんな所に自分の名前が?
なんでこんなことになったんだ?
患者さんに喜んでもらってたじゃないか。
何も悪いことなんてしてないのに。。。。。
そういえば、あれは前兆だったのか?
そういえばずいぶん前、封筒が届いていたような気がする。
どっから来てたんだっけ。。。。
覚えてないけど、なんか「部位が多い」とか書いてあった気がする。
請求団体に連絡をしたら「しばらく平均部位を減らして請求してもらったら大丈夫です」って言われたからその通りにした。
今から思うとあれは「最悪の対処」だったのかも知れない。
そういえばなんか変な返戻が続けて返って来てたこともあったな、今更だけど。
でも、毎日の忙しさにかまけて平均部位を減らすだけの対処を続けていた。
電話が、鳴った
いつも通り、窓口で500円を患者さんから受け取ったすぐだった。
電話が、鳴った。
「もしもし、◯◯厚生局です。管理柔道整復師の◯◯さんおられますか?」
厚生局????なんだ?なんかあったのか?
その後の会話は、本当に覚えていない。
頭が真っ白のまま書いたメモだけが残っていた。
「おいおい、何が起きてんだよ」
請求団体に電話をした。
守ってくれるって言ってたもんな、大丈夫だ。
「こちらでできることはありませんので、先生に対応していただくことになります」
「はあ???何かあったら守ってくれるんじゃなかったのかよ!」
「情報は提供できますが個別指導や監査は先生の責任の元で対処していただかないと。。。。」
絶望感とともに電話を切った。
マジか、なんだこいつら。
請求団体の言う通りにして来たのに、こんなことになってんじゃねーかよ!
え?さっきなんて言った?
「個別指導や監査は。。。。。。」
え?俺、個別指導になるの????
時、既に遅し。
今更だけど、もうこの時には「詰んでいた」んだ。
救世主が現れた!
慌ててあっちこっちに連絡をした。
同期の先生や元同僚の先生、ありとあらゆる所に連絡をした。
「なんとかならないか」
連絡してみるもんだ、A先生から情報が入った。
「個別指導の経験が豊富な先生がいる。相談に乗ってくれるみたい」
藁をも掴む、とはこう言うことなんだ。
掴める藁なんて滅多に無いんだよな、今更だけど。
個別指導の経験が豊富な先生、C先生はまさに救世主だった。
「カルテなどを完璧にチェックしましょう。カルテ作成も付き合います」
カルテも作っていなかった僕は、C先生に数百万のお金を払ってお願いした。
あとで分かったことだ、この数百万は何の意味もなかったことに。
個別指導から監査へ
カルテを持って行ったり、犯罪者みたいに取り調べをされているような気分で個別指導が始まった。
「監査に切り替えます」
え?何だ?個別指導で終わって何とかなるんじゃなかったのか?
そういえば審査会権限がどうとか。Facebookに書いてあった気がする。
惨めだ、知っていたら希望を持つこともなかったのに。
もしかしたら個別指導だけで済むかも、ってC先生言ってたじゃないか。
一縷の希望を持ってしまっていた僕は、さらにどん底に叩き落とされた気がした。
正しい保険請求を「知ろうとしない」柔整師にXデーがやって来た(小説風・後編)に続く。。。。
※話の流れはフィクションです。実際の個別指導や監査が同じように進む訳ではありません。
というか、そこを見て欲しい訳ではありません。