約三年前にこんな記事を更新しました。
なんかね、おかしいんですよ。
資料や判例を調べてれば調べるほど、通知通達との整合性が合わない。
通知通達の一部が整合性が合わない「騙しルール」だったとしたら、昭和25年から今に至るまであはき師はどれだけ損害を受けてきたんでしょう?
保発第四号はこれです。
○按摩、鍼灸術にかかる健康保険の療養費について
(◆昭和25年1月19日◆)
(保発第四号)
(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)
標記については療術業者の団体と契約の下に、これを積極的に支給する向もあるやに聞き及んでいるが本件については従前通り御取扱いを願いたい。従ってこの施術に基いて療養費の請求をなす場合においては、緊急その他真に已むを得ない場合を除いては、すべて医師の同意書を添付する等、医師の同意があつたことを確認するに足る証憑を添えるよう指導することとして、その支給の適正を期することと致されたい。
今回の記事で重要なのはここ。
療術業者の団体と契約の下に
ここです。
療術業者とはなんでしょう?
昭和十年に発行された「日本醫事新報」第645号。
「醫業類似行為調査會」という記事がありました。
皆さんが思っている「医業類似行為」とはかけ離れた解釈になっています。
重要な部分を抜粋します。
全国の府県に於て、療術行為取締規則を制定しているのは約三十を数ふるに過ぎないが、
内務当局はそれに対する全国統一の規則を作る必要に迫られ
そもそも当時は、療術行為についての全国統一のルールはなかったんです。
ルールを作っているのは三十府県ってことは、実効性が無くなります。
ルールの無い県なら何してもいいってことですもんね。
「療術業者の分類、取締規則の起草」
電気療法・・感伝電気、平流電気、感伝平流混合電気、高周波電気、磁気
光線療法・・太陽燈、紫外光線(紫光線赤外線)紫外光線は高周波電気を使用す。
当時、内務省が重要なポイントとして検討していたのはこれらの電気療法、光線療法だったと推測されます。
ここ、覚えておいてくださいね。
高周波電気、は療術行為に含まれているでしょ?
「一般療術の問題、さらに徹底を期せ」
電気及び光線療法に非らざる一般の療術行為は、その種類も◯る多く、且つ「大本教」や「ひとのみち教団」式の神懸かり的療術が大部分を占めて居る
電気療法、光線療法以外にもたくさんあった訳ですね。
神懸り的なものも「療術」に含まれていたとは。
資格のない民間療法がうじゃうじゃしているって。
なんか、今と状況が似ていますねえ。。
そして、ここが重要です!
現在の療術行為の内、温熱療法、温灸療法、保健療法、手技療法と称する療術行為中に於て、事実上灸術、按摩、マッサージーと何等選ぶ所のないものが多々存する
内務省が一面に於て、灸術、按摩、マッサージーを試験制度に依って認めているにも拘らず、これと全く同一のもの或いは◯る類似せるものを届出主義に依って放任して置くことは奇妙なる現象と云わねはならぬ。
これは判例でも通知通達でもないので、これが正しいかどうかは別です。
しかし、昭和十年の医療を取り巻く状況がなんとなく見えてきませんか?
・灸術、按摩、マッサージーは資格試験があった
(鍼術はどこに行ったのか、また探しておきます)
・療術行為は届出制であった
↓
資格試験で認めたものと、届出によって行われている療術行為に「見分けがつかんようなもんがあるのは奇妙だなあ」ってことですね。
ほんと、今と変わりませんね。
この「療術」「療術行為」「高周波電気」のキーワードが後々、思いもしない使われ方をしたり、間違って使われたり。
次回の記事で書きますが、国会議員が提出する「質問主意書」への答弁に「致命的な言葉の取り違え」を発生させることになります。
この間違いが「HS式最高裁判例」の誤解釈とともに、あはき柔業界が訳の分からない争いに巻き込まれていく一つになります。