平成31年1月1日から、あはきの受領委任が始まりました。
さて、既に一回二回の請求をされた先生もおられると思いますがどんな感想ですか?
僕は、こんな屈辱を受けて誰も騒がないのが不思議で仕方ありません。
厚労がどこを問題視していたのかはあえて言いませんが、「はりきゅう」に限って書いてみたいと思います。
同意書問題は解決していない
どちゃらかの団体が「医師並みの制度を導入できた!」などと吹聴しているようですが。
そうですかね???
医師(保険医)は当たり前ですけど、同意書なしで健康保険を取り扱ってますよね(笑)
同意書が発行される保証もないのに、どこが「医師並みの制度」なんでしょう?
そもそも、この交渉をした人間は実は何も分かってないのかも知れません。
同意書についても、今までは口頭同意もあったんで「○○さん(患者さん)がお願いするから」というレベルでも出してくれていました。
診察を必須とする、という時点で医師の判断に委ねられる割合が格段に上昇することになります。
「診察の結果、同意書は難しいねえ」もあり得ることになります。
さて、医師の判断が重要視されるのであれば
「うーん、お体の状況を拝見するとマッサージや鍼灸治療ではなくてリハビリが必要かも知れませんね」
と言われる可能性もあります。
そして、その医師が診療所で自前の訪問看護・訪問リハビリを持っていたら。。。。。。
考えたくはないですが、患者さんが訪問であはきを受けたいという希望は医師によって断たれるなんてことはきっとありえないんでしょう。
「あはきは残るが、あはき師は滅びる」の第一歩にならなければ良いのですが。。。。
申請書のコピーを患者さんに渡す
柔道整復でもやっていない愚行です。
患者さんから見ればどうでしょう?
信頼関係もクソもないんですよ。
患者さんに確認してもらわないと、信用できないという厚労側の思いが見透かされてしまうようです。
ここまでしないといけない「何かがあった」ってことですよ。
厚労がメインで問題にしていたのはここなのかも知れません。
施術費用明細書を患者さんに渡す
領収書とは別に、費用の明細が書かれた明細書を患者さんに渡さないといけません。
柔整の「施術項目が記載された明細書」と同じようなものです。
柔整では「希望した患者さんに交付する(有料・無料)」ですが、はりきゅうは全ての患者さんに渡さないといけません。
希望もしていないのに渡さなければいけないというのは、申請書のコピーに次いで屈辱的なものだと思いますが。
往療明細書を提出
これはこれで必要なのかも知れません。
今までは摘要欄に「往療を必要とする理由と、往療を行った日」を記入していたので、これが別紙になったということでしょう。
ここに問題が一つ。
摘要欄に記入していた場合は、詳細に往療を必要とする理由を具体的に記入することが可能でした。
受領委任ではこうなります。
理由が(1)(2)(3)に簡略されました。
(1)独歩による公共交通機関を使っての外出が困難
(2)認知症や視覚、内部、精神障害などにより単独での外出が困難
詳細は(3)に記入しないといけないとは思っていますが、今まではどうだったでしょう???
往療が必要な理由を療養費支給申請書の摘要欄へ記載してください。
往療料については、歩行困難等、「真に安静を必要とするやむを得ない理由等」がある場合に申請できる取扱いとなっており、療養費支給申請書の摘要欄への当該理由の記載にあたっては、単に歩行困難と記載するのではなく、「真に安静を必要とするやむを得ない理由等」(施術所に通うことができない具体的な理由)が分かるよう、その状況について具体的に記載してください。【記載例】
・変形性膝関節症により両膝に関節拘縮があり、起立位を維持するのも困難。
・脳梗塞後遺症により身体に麻痺があり、介助なしでは独歩が困難。
どうでしょう?
考えすぎかも知れませんが、受領委任で必要な(1)(2)で考えた場合。
単に歩行困難と記載するのではなく、「真に安静を必要とするやむを得ない理由等」(施術所に通うことができない具体的な理由)
【記載例】
・変形性膝関節症により両膝に関節拘縮があり、起立位を維持するのも困難。
・脳梗塞後遺症により身体に麻痺があり、介助なしでは独歩が困難。
↓
(1)独歩による公共交通機関を使っての外出が困難
どうですか?
「真に安静を必要とするやむをえない理由で施術所に通うことができない具体的な理由」
だったのが
「独歩による公共交通機関を使っての外出が困難」
この文言の変化をどう捉えるべきなんでしょうか?
この変化には、今後も含めた「大きな意味」があるんではないでしょうか?
我々にメリットはあったのか?
メリットデメリットを相殺すれば、はるかにデメリットだったでしょう。
調べていると、面白い記事を見つけました。
あはきについては、保険者側(支払い側)からの視点です。
ここには、こう書いてあります。
あはき療養費の議論が本格化したのは2016年度から。議論の過程を説明する中で、「見えない影」があったと振り返った。議論が始まった当初は「支払側は一致団結して(受領委任導入に)反対してきたが、2017年1月ごろから潮目が変わったという。国保、後期高齢者広域連合が欠席するなどし、審議官クラスがかなり力を持って動いた」。同年3月には健保連、協会けんぽが最後まで反対する中で、「徹底した『不正対策』の実施を前提に受領委任制度の導入」が「強行決定」したと説明。「国がやると決めたことは、どんなことをしてでもやってくる」と述べた。
合意内容については、受領委任払いを導入するかどうかを「保険者の裁量によること」となった。幸野氏は「死守した」と説明し、健保連では「償還払い」を推奨している。広島県内の7組合があはき療養費で代理受領の取り扱いをやめて償還払いにしたことで、申請件数・給付費がともに大幅に減ったことなどを挙げて、「給付の適正化促進に最も効果がある」と述べた。
保険者側の話を聞く機会はほとんどないので、面白い記事だなあと思っています。
そもそも、支払側は受領委任導入に反対していたんです。
それが「国保・後期高齢」が欠席を始め、協会けんぽも立場上折れざるを得なかった。
どちらも公的審査会を持ち、通知通達の発出先なら仕方なかったんだなとは思います。
役所が進める受領委任の流れの中で、通知通達の発出先として抵抗には限界があったんでしょう。
参考
厚生労働省から発出される通知通達の宛先を確認したことはありますか?
発出元は厚生労働省の担当部局です。
発出先は地方厚生(支)局医療課長、都道府県民生主管部(局)、国民健康保険主管課(部)長、都道府県後期高齢者医療主管部(局)、後期高齢者医療主管課(部)長。
または都道府県知事・地方厚生(支)局長となっています。
各種、通知通達はこれらに対して出されていますので、健康保険組合や共済組合が含まれていないことに注目しないといけません。
見えない影、なんてあはき業界にありません。
なぜか我々の希望を潰して回る医師会の候補を応援してきたという訳の分からない選挙しかしてこなかったんですもん。
政治力なんて皆無に等しい。
あったとすれば「厚労省の意向」でしょう。
厚労としては延々とあっちこっちからごちゃごちゃ言われるのが嫌なんで「はい、受領委任で網をかけましたよ」ってしたかったのか。
審議官クラスが強引にでも進められる案件であったということです。
審議官っていっぱいいますから、厚生労働審議官ならそれなりの力もありますが厚生労働審議官なのか、大臣官房の総括審議官なのか。
この記事からは分からないんです。
社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会の資料を見ても出てこない。
なんの、どの審議官がどう動いたのか?も分かんないんです。
もし、それ以外に見えない影があるとしたら、
・何も考えずに、受領委任をありがたがって導入したい社団、または交渉担当者の意向
・あはきの受領委任を導入することで得をする団体→政治家の意向
くらいじゃないでしょうか?
この受領委任で徹底的に狙われたのは「訪問マッサージ業者」であることは否定し難い。
もし、そんな部分への見えない影があるとしたら「訪問マッサージ」が邪魔な人たちはどんな人たちなんだろう?って考えて見ることも一つの視点かも知れません。
バーター(引き換え)はなんだったんでしょう???
まさか、はり師きゅう師の「機能訓練指導員」への追加だったとしたら、市井のはり師きゅう師への裏切り以外何者でもないです。
厚労が腰を上げるまで、自浄作用を示せなかった業団の責任はないんでしょうか?
この問題は総括される日は来るんでしょうか?