良く引用文に「前略」という文字が入っているのですが、参考にした通知である保発第四号に前略が入ってました。
全文を確認すると奇妙なことを発見。
昭和25年1月19日 保発第四号
厚労省法令等データベースサービス、から全文転載してみる。
○按摩、鍼灸術にかかる健康保険の療養費について
(◆昭和25年1月19日◆)
(保発第四号)
(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)
標記については療術業者の団体と契約の下に、これを積極的に支給する向もあるやに聞き及んでいるが本件については従前通り御取扱いを願いたい。従ってこの施術に基いて療養費の請求をなす場合においては、緊急その他真に已むを得ない場合を除いては、すべて医師の同意書を添付する等、医師の同意があつたことを確認するに足る証憑を添えるよう指導することとして、その支給の適正を期することと致されたい。
古い話ですが「療術師」という資格がありました。
按摩・鍼・灸・柔道整復業営業法公布(昭和23年1月1日施行)
1)療術行為の禁止
2)既得権者のみに8年間の施行猶予期間を設ける。
によって既に療術師として業務を行っている人に対して法律施行より8年間のみ有効の「療術師」が存在しました。
その後、例の最高裁判決から息を吹き返し元々の療術師でもない人が療術師という名称を使用し始めました。
元に戻り。
○按摩、鍼灸術にかかる健康保険の療養費について
と
○標記については療術業者の団体と契約の下に
これって両立しないんですよ。
「按摩、鍼灸術」は「療術」ではないからです。
と、考えると保発第4号は按摩、鍼灸術に対しての通知ではないと読み取ることができませんか???
あくまで仮説です。
①昭和25年1月19日時点で按摩、鍼灸の療養費には同意書が必要なかった
②昭和23年に公布された按摩・鍼・灸・柔道整復業営業法公布によって療術行為が禁止された。
ということは保発第四号が通知された時点で、按摩・鍼・灸・柔道整復業営業法が施行されていたが昭和31年までの既得権者としての療術師が健康保険を取り扱えていた。
なので、昭和31年まで存在する療術師に対して無理な請求をしないよう=支給の適正を期することとする手段として医師の同意書を添付するように通知したのではないか???
とするとこういう現代語訳となる。
○按摩、鍼灸術にかかる健康保険の療養費について
(◆昭和25年1月19日◆)
(保発第四号)
(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)
按摩、鍼灸術に適用される健康保険の療養費については、按摩、鍼灸術だけではなく、昭和31年まで有効の療術業者も適用となっているが、療術師の団体と契約をして、療術に対する療養費を積極的に支給することがあるように聞き及んでいるが本件については按摩、鍼灸術については従前通り御取扱いを願いたい。
従ってこの療術師の施術に基いて療養費の請求をなす場合においては、緊急その他真に已むを得ない場合を除いては、すべて医師の同意書を添付する等、医師の同意があつたことを確認するに足る証憑を添えるよう指導することとして、その支給の適正を期することと致されたい。
こうなると話は変わってくる。
そして、次の通知で決定的におかしい話になる。
昭和26年3月9日保発第14号
「あんま・はり灸、マッサージの施術にかかる療養費について」
標記については客年1月19日保発4号をもって通知したにも拘らず、いまなお施術業者の団体との契約を続行し、甚しきは新たに契約を締結しているところがあるやに聞き及んでいるが、若しかかる事実の存する場合はその事情の如何を問わず、至急これを破棄するよう御措置願いたい。
あれれれれ?
保発4号の「療術業者」が保発14号では「施術業者」に変わっている理由はなんなんでしょう????
保発4号の順守を求めた保発14号なので、通知内容は同じはずなのに対象が変わっています。
ここでおかしいことになり始めたのではないか?と考えたり。
○按摩、鍼灸術にかかる健康保険の療養費について
と
○標記については療術業者の団体と契約の下に
の「用語のズレ」についてもっと調べてみよう。